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Eトレードは、九六年の春から夏にかけて他社から突出した毎月九%という口座数の伸びを実現し、同八月にはオンライントレード専業の証券会社としては初めての株式公開に踏み切りました。
この快進撃を見て、同じようなサービスを提供しようとする証券会社の新規参入が相次ぎました。
九六年六月に掲載された新聞記事では、アメリカの代表的オンライン証券会社として十二社の名前が挙げられていました。
また、その六ヵ月後に掲載された雑誌記事には、「現在インターネットを利用したオンライントレードーサービスを提供している証券会社は二十五社ある」と書かれていました。
それから一年九ヵ月後の九八年九月には、この数字は、さらに四倍近い九十社以上にまで膨れ上がってしまったのです。こうした競争激化の中で格安手数料を6売り物にして急速にシェアを拡大しようとする証券会社が増加し、手数料の最低水準は急速に切り下がっていきました。
Eトレードがインターネットーサービスを開始し三ヵ月後の九六年五月には、早くも取引一件当たり十二ドルというオールアメリカンーブローカーズの「eブローカー」が登場しました。
この会社は、ネブラスカ州オマハに本拠を置くトランステッラ(現アメリトレード)の子会社で、インターネット活用の草分けであるKアウフハウザーをもグループ内に抱えていました。
「eブローカー」というサービス名からも先行するEトレードへの対抗意識がありありとうかがえます。
次いで九六年七月には、デ土アフターセキュリティしスが、上場株の場合は成り行き注文のみに限るとしながらも、取引一件当たり九・九九ドルと、初めて一般顧客向けに十ドルを切る水準の手数料を掲げてインターネット取引サービスを開始しました。
アメリカの証券業界は「取引一件十ドル時代」に突入したのです。
同九月には、スコッツデールーセキュリティしスが、口座残高一万ドル以上の顧客に限りながらも手数料を取引一件当たり九ドルとし、さらに同十二月に入るとエンパイヤーファイナンシャルが、口座残高一万ドル以上の顧客が一千株以上の成り行き注文を出す場合には手数料無料という、前代未聞のサービスを打ち出しました。
こうして価格破壊ともいうべき激しい値引き競争は、半年間で無料サービスが登場するところまで行き着いてしまったのです。
しかも、これが価格破壊の終結というわけではありませんでした。
新規参人組を中心とするオンライントレード専業証券会社が主導する価格破壊の第一段階が一段落してから約九ヵ月後の九七年九月から同十月仁かけて、今度は全米に店舗網を展開するディスカウントーブローカー大手のフィデリティやクイックーアンドーライリーが相次いで手数料を改定し、取引一件当たり十五ドルから二十ドルというEトレードなみの水準への引き下げを断行したのです。
こうしていわば価格破壊の第二段階の火蓋が切られ、それまで取引一件当たり三十ドル程度だったオンライントレード全体の平均的な手数料水準は、瞬く間に十五ドル前後に低下してしまいました。
証券業界に衝撃を与えたEトレードの格安手数料は、わずか一年半でオンライントレード全体の平均的な手数料水準になってしまったのです。
エンパイヤーファイナンシャルの手数料無料はやや例外的としても、手数料の最低水準も着実に低下していきました。
九七年十月には、それまで手数料の価格帯とサービスの内容が異なる四つのインターネット取引サービスを提供していたアメリトレード(旧トランステッラ)が、低価格サービスを提供してきたKブローカーズはeブローカーをする三子会社を統合し、取引一件当たり八ドルという業界最低水準の手数料を売り物にする新サービスを導入しました。
アメリトレードは、当初、三つの異なるブランドそれぞれで異なった顧客層をターゲットとしたサービスを展開しようとしたのですが、急速な価格破壊が進展する中で各サービスの特色が不明確になってきたと判断し、統合して規模の経済性を追求する戦略へと転換したのです。
その翌月の九七年十一月には、クイックーアンドーライリーが、ディープーディスカウント子会社シュアトレードを通じて、取引一件当たり七・九五ドルというアメリトレードを明らかに意識したサービスを開始し、手数料の最低水準をさらに引き下げました。
その後、九八年前半にかけて、リンドナー・ファンド(取引一件当たり七ドル)、チェースーマンハッタン銀行のディスカウントーブローカー子会社であるブラウンーアンドーカンパニー(成り行き注文の場合取引一件当たり五ドル)といった激安サービスが続々と登場し、オンライントレードの手数料は、取引一件当たり五ドルから三十ドル(チャールズーシュワブやメリルリンチのメリルリンチーディレクトなど)、平均すれば十五ドル前後という水準に落ち着いたのです。
日本でも価格競争が始まるわが国においても、九九年十月の株式売買委託手数料の完全自由化を機に、インターネットを通じたオンライントレードの手数料が劇的に低下しました。
手数料自由化に伴い、自前の投資情報や投資アドバイスの提供を売り物にしながらブルーサービス証券会社をめざす大手証券会社も、手数料体系の見直しを行い、オンライントレードについては、従来の固定手数料に比べて手数料を引き下げました。
オンライントレードは、対面でのアドバイスが得られる店舗に比べてサービス提供のコストが低いため、手数料に差を設けることにしたのです。
アメリカでは、オンライントレードに力を入れているディスカウントーブローカーが、店舗での応対やコールセンターでの電話注文受付を併用していることが少なくありません。
コールセンターには、自動音声応答電話と人間のオペレーターによる対応の二種類があります。
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一方、オンライントレードに特化するオンライン専業証券会社などは、大幅な手数料の引き下げに踏み切りました。
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例えば、完全自由化前の段階で最も安い手数料の設定を発表していたDLJディレクトSFG証券の場合、売買代金一千万円までの成り行き注文を一律千九百円としたため、売買代金一千万円の場合、従来の固定手数料に比べて約九八%の引き下げということになりました。
ちなみに、同社では、指し値注文の手数料は、取引一件当たり二千五百円としましたが、それでも売買代金一千万円のケースでは、九七%の引き下げということになります。
自由化後は、これをさらに上回る手数料の引き下げを行う証券会社も現れました。
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